ニュージーランド日記


 

出発
'92.4.27
 今日から有給を取って出発準備をする。まずは航空券の受取のため明治航空の佐藤氏のもとへ。場所が分からず神田をさまようがようやく行き着く。佐藤氏もこの秋に結婚との事、めでたい事だ。
 次にニュージーランド銀行へ両替とトラベラーズチェック発行の為に行く。しかしこれは、後で考えると失敗であった。非常にレートが悪いのだ。
 最後にキウィコーチパス購入のためにJTB虎ノ門支店に行く。ここの窓口の女の子が非常にかわいい、働くのならやっぱりこういう環境が望ましい。
 いよいよ成田空港へ、今回はJALなのだがこれに決まった成りゆきもいい加減だ。1月半ばに佐藤氏に頼んだときは、シンガポール航空利用で安くあげようと言う話だったのだが、4月に回答が来たときには21万という事であまり安くなっていなかった。そこで直行便をあたろうと言う事になり、JALで27日出発なら22万と回答が来たのが4月17日頃。直行便でこの価格ならと決めたのであった。もう少し待てば、まだ下がったかも知れない。
 4時にカウンターが開いてすぐにチェックインし、後はいつもと同様ぶらぶらしている。経済大国と言うのに空港がみみっちいのは情けない。シンガポールのチャンギ空港は設備も整って良かったなどと思いながらたたずんでいた。何か外国に行くという現実感がなく、ふわふわとした感覚もいつもと同じ。海外旅行慣れしたとも思えないのだが。
 佐藤氏から聞いたとおり、機材とパイロットはカンタス航空で乗務員はJALと言う変な組み合わせであった。JALも人が、特にパイロットの養成が間に合わず、足りないのだろう。
 ほぼ定刻通り出発。JALのサービスはどうかと興味があったが、これまでに乗った航空会社の中では最低であった。たぶん、日本語で大丈夫というのが日本人に取っては最高のサービスというのだろう。スチュワーデスのお姉さんも何となくお高くとまっているような気がした。
 夕食を食べ、本を少し読んでからうとうとした。英語に慣れるため、この前買ったAmy TangのKitchen God's Wifeだ。中国系の母娘を扱った話だが、結構おもしろい。寝酒にスコッチをもらう。朝食は到着の2時間前というから5時間は眠れるだろう。

到着とドライブの始まり
'92.4.28
 全く熟睡できず、疲れたまま朝食の時間となった。雲の上が少し明らんできた、もうすぐ夜明けだ。徐々に飛行機は高度を下げ、ニュージーランドの大地が見えてきた。多くの入り江に型どられたあの景色は、Bay of Islandsだろう。やがて、オークランド国際空港へ着陸して、ぼくのニュージーランドの旅が始まった。
 Imigrationでは美人の入国検査官と使用した雨具の事で多少のやりとりがあった(NZは島国なので生態系の維持に気を使っており、泥など持ち込むのはもってのほかなのだ)が、非常に友好的な雰囲気で話が進む。そういえば、パンフレットなどあちこちに日本語があり、最近の日本人の来NZの多さを物語っているようだ。本当にどこに行っても日本人という感じがする。
 まず、出発ロビーの方へまわり、Reconfirmの手続きを行う。JALの窓口のお姉さんが適当に取り計らってくれる。
 さあ、いよいよレンタカーだ。予約は日本でしているので、予約番号を言えば借りるのは簡単なのだが、その後どうしたらいいのやら。窓口のKevinと言うお兄さんに相談に乗ってもらった。Kevinは地図を取り出してきて最初の目的地Waitomo Caveへの道順を教えてくれた。
 これから3日間、ぼくの愛車となるのは赤のスターレット。エンジンをかけ、ミラーを調整して、でも動く気にならない。本当にやって行けるのだろうか。とりあえず、地図を見直してオークランド市内のOne Tree Hillに行ってみる事にする。久しぶりのマニュアル車、さあ行くぞ。
 のっけから道を間違えてしまった。国内線の空港の方へ、なをかつ行きすぎてから気がつく。先が思いやられる。地図をちらちら見ながら行くが、曲がるべきところを間違える事数回、自分がどこにいるか分からなくなってしまう。NZを出るまでに事故を起こさなかったら奇跡だ。どうにか自分の居場所が分かり、何度も道を間違えながらようやく目的地に到着。そこは、広々とした公園で羊の放牧場にもなっている。ジョギングする人や散歩する人など思い思いにくつろいでいる。One Tree HillはAucklandの創設者を記念した公園で、その高台からはオークランドの町並みとそれをはさむ両側の海が見える、とても静かなところだった。
 あまりのんびりともしていられないので、Hamiltonの街をめざして一路1号線を南下する。NZの道路は郊外では制限時速100キロなのでやたら飛ばせる。おまけに車も少ないので、昼前にはHamiltonへ着いてしまった。
 ところがここからが大変、昼飯を食べようとレストランを物色したのはよいのだが、駐車するのに小銭が必要なのだ。NZは駐車違反の取締が厳しいと聞いていたので、うろうろした後、雑貨屋に入ってお菓子を買い、小銭に崩した。目を付けたレストランの前のパーキングエリアに車を止め、コインを入れようとしたところで愕然としてしまった。40セント必要なのに35セントしかないのだ。とうとう昼食はあきらめ、先ほど買ったお菓子で我慢する事にした。Waitomo Caveへの道のりは長い。
 疲れきった心を引きずり、午後二時頃にWaitomo Caveに到着。受付で次のツアーは三時と言われ、周囲をぶらぶらする。本当にどこでも羊がいる。それを除けば、NZの風景は日本に似ている。
 Waitomo CaveのGlow Wormは不思議に美しかった。始めはうるさかったカップルも暗闇に浮かぶ光にやがて声を失い静寂が空間を支配した。人の反応はどこでも変わらないのだなとふと思った。
 今日も終わりに近い、そろそろ宿を決めなくてはならない。Te Kuitiの街を通り過ぎかけたところでPanorama Innというモーテルを見かけ、泊まる事にする。ここはレストランを併設した割合大きなモーテルで、受付のおばさんも愛想が良く好感が持てる。
 近くに見える住宅街にジョギングに出かけたところ、For Saleの家があちこちで目についた。NZの不況もかなり厳しいのかも知れない。しかし、それでも住環境の豊かさは日本と比較にならない。土地がいくらでもあるせいか、二階屋はほとんど見ず、ゆったりとした平屋建てが多かった。
 夕食はモーテルに付属したレストランでステーキを食べた。やはりボリュウムがあり、そして大味だった。ただ、肉自体は柔らかでおいしいのは救いだ。ここには、パブも併設していて地元の人が三々五々やってきて、さながら小さな社交場という趣であった。
 今日は睡眠不足の上緊張の連続で、疲れはててベットの上に転がっている内に眠りに落ちてしまった。

トンガリロ公園
'91.4.29
 今日の行き先はまだ全く考えていない。朝ご飯は、Full Engrishというやつで、Cookと言う言葉が一瞬分からなくて戸惑ったが名詞としても使うのだった。これもボリュウムいっぱい、昼ご飯を食べなくてもすみそうだ。
 地図を見て取りあえずLake Taupoへ行くことにする。この湖はNZで一番大きく、様々なウォータースポーツで有名だ。東に向け、車を走らせる。幹線をはずれると益々のどかな風景が広がる。快適な速度で突っ走り、昼頃到着。
 昼ご飯はマクドナルドで済ませた。キウィバーガーセットとか言う、別にキウィは使っていないハンバーガーだった。
 インフォメーションセンターへ行き、Huka Fallへの行き方を聞いているとJet Boatがおもしろそうなので申し込む。これは正解で、とてもExitingな経験であった。Jet Boatというのは水をジェット噴射させて進むという代物で、水深が10センチあれば操縦できるとのことだった。まさに水の上を馳せるように進み、ドライバーも調子に乗って岸壁ぎりぎりを曲芸運転していた。後はぶらぶらと散策。
 Lake Taupoを出てTongariro National Parkへと向かうことにする。
TongariroはNZ最古の国立公園で、有名なトレッキングコースがある。またこれも有名なChateau Resortと言うホテルがあるので、ぜいたくをするのも良いかと思ったのだ。
 原野のようなところを走り抜け、Chateauに着いて部屋があるか聞くと80ドルからあると言われ思わず安堵してしまった。150ドルぐらいではないかと覚悟していたのだ。この時まだサマーシーズンで、ここはスキーシーズンが混むのであった。  今日のジョギングはホテル前の専用ゴルフ場。芝の上を走るのは結構気持ち良いものだ。日本のゴルフ場も解放してくれればいいのに。
 夕食はホテルのレストランだが、味はともかく風格があって雰囲気は最高だ。部屋の方も安い部屋の割には、落ちついた感じで格調高い。ただ、バスルームに日本語で浴槽を溢れさせないようにと書いているのは興ざめだし、多くの日本人が同じ失敗をやっているのかとせせら笑っていたら、同じ失敗を僕もやってしまった。浴槽に湯を入れて日記を書いていたら、予想より早く湯が貯まり気がついたら溢れてしまっていたのだ。大慌てで、バスタオルで床を拭き事後処理に励んだが、お湯が熱いので指にやけどはするし散々であった。

トランピング
'91.4.30
 今日はいよいよ今回のNZ旅行の本題トレッキングだ。ホテルをチェックアウトするとき何か言われるかと思ったが、下の階に漏れなかったようで無事に出て行けた。
 目的地はLake Tama。約5時間のコースだ。途中Taranaki Fallを経由して目的地へ進む。人を全く見ない、寂寥感のみが漂っている。晩秋であちこちには霜柱が立っているほどなのだ。本当にこの道でいいのかと思っていると表示板が現れ、一安心。本当にのびのび出来て心が洗われるようだ。
 Lake Tamaは空の色を映し青々として美しい。ただ風がきつくて、寒いのが難点だった。
 帰りには、幾人かとすれ違い声をかけていく。こういうところは万国共通なのだろう。しかし、こちらの人間はかなり年輩でもペースが速いような気がする。基礎体力の違いであろうか。
 Chateauに戻り、今日の宿泊地をどこにするか迷う。WanganuiかPermathton Northまで行こうと決めたが、そこへ通じる国道4号は非常にカーブが多く、途中崖から落ちるのではないかと怖かった。おかげで、Wanganuiに着いたのは4時過ぎ、街に入ってすぐのAcacia Motelに泊まることにした。
 今日のジョギングはWanganuiを貫く川の岸辺沿い、天気が悪くて陰鬱な街に見える。しかしどこの街でもジョギングのコースが整備されているのは感心する。もっとも道を間違えて、ぬかるみにつっこんでしまったが。
 今日は宿にレストランが併設されていないため街へ食事に出かけなくてはならない。夜、車の運転をするのは気が進まないし、酒を口にするのは絶対に止そうと心に誓う。
 適当に車を走らせ、街中を探る。ケンタッキーやピザハットは気が進まない。どこか落ち着けるところはないかと街中を離れ、目にとまったレストランに入る。Liffiton Castle、インド人の経営するレストランだ。飲物はと聞かれあっさり気がくじけ、ビールを頼んでしまった。老夫婦が多く、和やかな感じのレストランであった。
 夜、チャンネル1でなぜ現在も日本がアジアの多くの国から信用されないかと言う特集をやっていた。第二次大戦中の日本の残虐行為とそれを隠す日本の態度を扱ったものだ。この番組でまだ僕の見たことの無い多くの映像が取り上げられ、従軍慰安婦問題でのショッキングな告発がされていた。ある中国人婦人とその娘がどういう扱いを受けたかを日本で説明したものだが、通訳の女性は余りにひどい事実に日本語に訳すのをためらっていた。日本人と外国人のギャップは限りなく大きく、会話が成り立たないくらいに認識が違うような気がする。世界中があったと考えていることをごまかしても不信を買うだけで、何の益にもならないと思うのだが。
 今日は色々とありすぎて、日記を書いている最中に寝込んでしまった。

南島へ
'91.5.1
 今日はレンタカードライブ最後の日、Wellingtonのフェリー乗り場で乗り捨てることになっている。Wellingtonに近づくにつれて、車が増えてくる。事故を起こさずに本当に良かった。
 とりあえずフェリーターミナルに行くとレンタカー事務所はフェリーの着いた後しか開いていないのだった。注意書きを読むと、それ以外の時には走行距離数を書いて鍵はボックスに放り込めとのこと。すごく脳天気な気がするがこれもNZの治安の良さを示しているのだろう。
 市内に行き、マウントクックの事務所で飛行機の予約とコーチパスの有効化を行ってもらうことにする。ここの窓口の女の子がやたら明るい、箸が転がってもおかしいという感じでやたら笑いころげる。いつかMilford Trackに行ってみたいと言うと、そこはすばらしい、ただ予約がheavyだから早めに予約しないとダメだとアドバイスを受けた。昼の飛行機と翌日のフェリーの予約をして出た。
 時間があるので有名な国会議事堂などを見て、その後高台に上りWellingtonの街を眺めた。Wellingtonはこじんまりとした坂道の町だ。そして風が強い。
 のんびりとしていると、ガソリンが底を尽きかけていることに気がついた。近くにはスタンドはないし、中心部に向かっている道かどうかも怪しい。 大いに焦ったが、どうにかフェリーターミナルまで持って胸をなで下ろした。
 いよいよスターレットともお別れ、三日間良く働いてくれた。キーを事務所のボックスに投げ込みお別れとなった。しかし、本当にこれで大丈夫なのか不安だ。請求書がきたら、車一台弁償せよなどということはないだろうか。
 飛行機の時間まで約1時間ある。電話でシャトルサービスを頼み、空港で昼食をと考えていたらなかなか迎えにこない。30分遅れてやってきて、なおかつ別の場所にまわるなどということをしてくれるから着いたのはチェックイン締切の3分前という肝を冷やす事態となった。そして、乗り込んだ飛行機が15人乗りの小さなプロペラ機で、一生懸命に飛んでいるという感じでなかなかスリルがあった。クック海峡は曇で残念だったが、晴れたらきれいだろうなと思わせる所だ。 到着したBlenheimの空港はとても小さく、田舎の鉄道駅舎のような建て屋があるだけだった。そばには郵便専用の飛行機がとまっていたりして、のどかなところだ。タクシーで中心へ向かい、ついでにB&Bを紹介してもらったが、そこは今日は女の子専用とのことで断られてしまった。別のB&Bを紹介してもらい、そこへ向かう。Koanui Guest Houseは老夫婦でやっているこじんまりとしたB&Bだ。なかなか感じがいい。
 Blenheimの町はジョギングしてみるとこじんまりとした美しい町だ。町を貫く小さな川があり、その両岸が公園のようになっていて人々は思いのまま散歩やジョギングをしている。どこでもこういう風に走れるところがあるのは非常にうらやましい。しかし、南島の一番北に位置するのに北島よりもかなり寒い気がする。海峡一つでこれほど変わるものだろうか。
 今日は金曜、いつもは6時で閉まる店も9時まで開いていて人々は家族であるいは恋人同士で町をそぞろ歩き、小さな町が華やいだ雰囲気になっている。夕食は人が一杯入っているのでRestaurant One Pointに決めた。またも、山盛りのポテトと大きな肉の塊のおでましだ。周りの人間はなおかつ、大きなデザートをおいしそうにほうばっている。よくもあんなに食べれるものだ。NZでは会計は、レジまで行くのをここで初めて知った。
 B&Bに戻り、主人夫妻と少しおしゃべりしてから眠りについた。英語が通じると嬉しいのだが、そんなことで喜ばなくてもいいくらいになりたいものだ。しかし、NZの発音はここの主人がEnglandからやってきたときにもさっぱり判らなかったというほどなので、許してあげよう。

フェリーで北島へ戻る〜そして火事
'91.5.2
 いかにも英国風という感じの朝食を食べる。もう1組泊まっていた老夫婦は、Waikatoからだそうだ。
 バスターミナルがわからなくて一瞬焦ったが、親切なおばさんに教わって事なきを得た。Pictonまでは30分、南島を全然廻れなかったのが残念。
 待合い室で手紙を書いていると寄付を求める若者につかまり、キャラメルを買わされた。そのとき額を聞き間違い、請求され直して恥ずかしい思いをした。
 フェリーに乗って、今一つの目的であるMarlborough Soundを眺めるつもりだったのだが、残念なことにこの日も雨。霧にかすんで殆ど見えなかった。おまけに、クック海峡に出たとたん船が揺れだし、非常に気分が悪くなってしまった。
 Wellington市内に入り、バスターミナルを捜すがさっぱりわからず、かなり時間を無駄にしてしまった。地球の歩き方はよく嘘が書いているので注意。現地情報を仕入れにインフォメーションセンターへ行くのが正解だろう。結局、ターミナルはフェリー乗り場だと判りがっかり。明日朝早く行くには、タクシーを使わねばならないだろう。
 土曜日のWellingtonには、日本人と思われる姿がちらほらするだけで人が極端に少ない。週休二日が完全に実施されているのだろう。通りすがりに見つけたHotel St. Georgeを今日の宿とする。ここは、週末の料金が安く幸運であった。
 今日のジョギングはとてもしんどかった。とにかく坂、坂、坂の連続なのだ。それもかなりきつい坂が続き、本当にばててしまった。
 夕食はパブみたいなところでとり、ついでにしばらく酒を飲んで周りを観察していた。酒場はどこでも同じような感じみたい。カードの請求書に漢字でサインしたら、熱心に照らし合わせをするので、つまらないジョークを言うと意外に受け、気をよくした。
 事件は、一日が終わった頃に起きた。突然鳴り響く非常ベルの音。ベットから飛び起きてズボンをはき、窓の外を伺うと同様に様子を見ている人の影が見える。ドアを開けて周囲を見ると荷物を持って駆けていく人がいる。冗談ごとではなさそうだ。鞄をひっつかみ一階ロビーへと駆け降りた。ちょうどそのとき外から物々しく入ってきたのは消防士、わが身の不運を思ってしまった。
 結局、出火はしておらず、レセプションの人間に聞いても要領を得ないのだが、一階に併設しているレストランでタバコの煙か何かが感知されたのだろうということになった。なんとも迷惑な話だ。
 逃げだしたときの姿で記念写真をとって眠りにつく。

バスの旅〜マオリの家へ
'91.5.3
 今日から移動につぐ移動でAucklandへ戻ることになる。早立ちなので、タクシーを呼んでバスターミナルへ向かう。  バスターミナルでチェックインしようとしてとんでもないことが判明した。キウィコーチパスの有効期限が間違えて設定されて、4月9日までになっているのだ。マウントクックのお姉ちゃんが間違えたらしいのだが、その場で気が付かなかった僕のミスでもある。どうにか説明して(購入が4月27日だからと)、発券してもらえたときには安堵の余り座り込みそうになった。
 今日はRotoruaまで、途中休憩が数回あっただけで一日中バスの中であった。Rotoruaに着くとさっそくインフォメーションセンターへ。宿の紹介とMaoriコンサートの予約をしてもらう。宿に着くとMaoriコンサートのピックアップサービスの時間までわずかしかなくジョギングはあきらめた。 バスの中でMaoriコンサートの概要と手順を説明されたのだが半分くらいしかわからなかった。訪問者の作法というものがあるらしい。おかげで英語の歌の練習までさせられてしまった。
 Maoriコンサートは非常に興味深く、おもしろかった。他のホテルでやっているものよりも、ここの一族を動員して(2〜3才の子まで)やる方式の方が親しみ深く、和やかであった。おまけに質問コーナーまであり、この時には一見フレンドリーに見える西洋人の容赦の無さというものを感じてしまった。というのは、Maoriのアイデンティティーに関してで、意識としてニュージーランダーかそうでないのかという厳しい質問をしているのを聞いて、こういう場でそんな質問するとはと驚いてしまったからなのだ。まるで踏み絵をしているような気がしてしまった。その後Hangiと呼ばれる伝統料理を食べ、その食事の場でEngland人のおばさんや新婚旅行中のスイス人夫婦と仲良くおしゃべりをして、楽しい時間を過ごせた。England人のおばさんはJuneといい、一緒に写真もとり住所も交換してしまった。さすがに疲れ、戻るとすぐ眠りに着いた。

オークランド
'91.5.4
 昨日ジョギングできなかったので早起きしてジョギングに出かけた。まずはRotorua湖まで出て、湖岸に沿って走った。あちこちで湯気が上がり、なるほど大きな温泉地だと納得。Maoriの集会所まで行ってから宿に戻った。
 朝食に降りて、日本人の姿を見、歩き方に載っている宿だと判明した。これまでなるべく避けてきたのだが、とうとう日本語で会話することになってしまった。彼は昨日Rotoruaマラソンに出たとのこと。同じような人間がいるものだと妙なところで感心してしまった。
 バスに乗り、一路Aucklandへ。午後1:30頃に到着。YMCAに泊まろうかと思っていたが、とりあえずインフォメーションセンターへ向かう。かなりの距離があるので恐れをなして別のホテルを紹介してもらった。Albion Hotelはこじんまりしたきれいな宿だが、Aucklandの相場はやはり高めだと思う。荷物を置いて、Kiwiを見に行こうと思っていたのだが、動物園まで行くと店が閉まる時間になりそうなので買い物に行くことにした。
 ふらふらと歩いていると目的からそれて、Auckland Univ.探検になってしまった。街中にあるため、狭いキャンパスだが落ちついた感じでよいところだ。ぼーっとしていると聖書の勉強会をやるから来ないかと誘われた。どこでも同じようなことがあるものだ。Buddhistだからと断って、街に戻った。
 有名なCanterburyのラグビージャージとシープスキンを買いに行った。街には日本人の姿が目につく。それも主だったおみやげ物屋さんには必ず日本人の女の子がいてこんにちはと声をかけてくるのだ。ワーキングホリデイなのだろうか、使いたくないのにずいぶんと日本語を使った。シープスキン屋さんでもフィジーから来たという青年が日本語で相手してくれた。またまた、浪費して宿へ戻る。海外に出るとつい財布の紐がゆるむ。カードを使うせいも多分にあるのだが。
 今日のジョギングはThe Domainへ。何か迷いそうになりながらどうにかたどりつく。夕暮れで物の形もはっきりしないような状態なのにあちこちでラグビーの練習をやっている。底辺がこれだけ広ければあの強さも理解できる。
 NZ最後の夜、しかしAucklandの夜は早い。レストランを適当に見つけ、少し酒を飲み過ぎてホテルに戻り、ベッドの上に転がっているといつのまにか眠りに落ちていた。

帰国
'91.5.5
 三時半頃目が覚め、着替えてもう一度眠ろうと思ったものの眠れず、そのままごろごろとしていた。シャワーを浴びて出発の用意をする。6:40頃ホテルを出て、6:50にはDowntown City Air Terminalに着く。時間が少しあるので軽い朝食をとり、バスを待っているとここで大きな失敗をしていた。バスの発着場所を確認していず、正面にくるものと信じていたら、実は裏側に専用の発着場があり、気付いたときにはバスは出ていた後だった。オーバーブッキングで飛行機に乗れないという悪夢が脳裏をよぎる。あきらめて、一本後のバスで空港へ向かう。
 到着してカウンターに向かうとすでに人の列、どうなることかと思ったものの簡単に発券されて拍子抜けであった。これも道理、登場してみると機内は空席だらけ。一番混んでいるべき時にこれでは日本航空の経営は大丈夫かなと心配してしまった。  しばらく飛んで足が疲れてきたので青竹踏みのサービスを頼むと非常に驚かれてしまった。よっぽど頼む人がいないのだろう。
 機内上映の映画を見たり、本を呼んだりと時間をつぶすのがしんどい。窓からかいま見える南太平洋の島々はとても美しい。僕向きで無いけど行くのもいいかも知れない。
 ようやく日本上空へ着き、僕のニュージーランド旅行も終わった。