ベトナムの電子産業

 なぜベトナムの電子産業?と思われるかも知れませんが、その疑問は当然です。電子産業が成り立つような環境に今のベトナムがあるとはとても思えません。ではなぜ?と言われると単に趣味で調べたとしか答えようがなかったりします(笑)。
 以下は1995年の専門誌Semiconductor World12月号の記事とネットで調べたことが基礎になっています。

半導体市場としてのぺトナム

 ホーチミン市を中心として電子機器の需要は拡大基調にあるものの、ベトナム国内の生産としてはまだ一部民生機器に限られている。そのため、電子機器事態はその多くを海外からの輸入に依存している状況である。そのため、電子機器生産によって発生する半導体需要は現在のところほとんどない。その中では、富士通がビエンホアにプリント基盤の工場を作り、ベトナムで最も成功した半導体関連の工場との評判を得ている。

半導体製造立地としてのぺトナム

 ベトナムにおける半導体製造は意外に古く、1976年の南北統一後から始まっている。
 シリコン単結晶の引き上げ装置を旧ソ連から導入後、試験的に生産を開始し、80年代にはトランジスタ、ダイオードは量産の域に達し、生産したデバイスは1980年からチェコスロバキアを始めとする東欧圏や旧ソ連に輸出されていた。
 しかし、旧ソ連が崩壊した後は技術援助を絶たれ、また1991年以降は輸出も止まってしまった。現在では国内需要の内、わずかをまかなうものが細々と生産されているとのことである。
 いずれにしろ、東南アジア諸国の中で半導体製造前工程を唯一自前で持っていた国であり、半導体に関して基礎的な技術力はあったと考えられる。
 今後、電子機器生産の拡大とともに半導体需要の拡大は確実に見込め、また将来的には半導体生産拠点としての可能性も出てくるであろう。

 1995年頃は、こういう内容が専門誌で扱われるくらいまだ夢に溢れていたのだなあとちょっと感慨です。
 僕自身は今のベトナムで半導体なんてあり得ないだろうなと思っていました。ところが、今年に入って2件程、半導体工場をベトナムに作るというような話が計画され、表舞台に出てきました。単なるアドバルーンじゃないかと思うのですが、いかがなものでしょう?
 1件目はSIG(Saigon Investment Group)というアメリカの越僑を中心とした投資グループが計画しているというもの。ミトーの工業団地にベトナムで初めての大口径半導体デバイス工場を作ろうというもの。以下がその記事のURLです。

http://neasia.nikkeibp.com/nea/200202/covn_169268.html

 後の一件はなんとあのインテルがCPUの工場を計画しているというものでした。以下のURLがその記事です。僕はさすがにこれはリップサービスか何かを早まって記事にしたのではないかと思うのですが。

http://neasia.nikkeibp.com/nea/200211/covn_214742.html
http://www.theinquirer.net/?article=6195

 現在のベトナムのインフラ、法制の不備や変動を考えると、決して近い内に半導体工場が実現するとは思えません。ソフトウェアや設計に重点をおいて投資をした方が良いのではというのが素直な感想です。

 ベトナムの半導体についての記事をアップしたあとすぐに知り合いからベトナムの半導体産業を立ち上げようとしている中心人物について、ラオドンに記事が出ていると紹介が寄せられました。
 日本で学び、日本やアメリカで化学産業に関わっていた方の様ですね。はたしてうまくいくかどうか、がんばっていただきたいと思います。

http://www.laodong.com.vn/pls/bld/display$.htnoidung(40,54884)

 数年経ち、ベトナムの電子産業も本格的に立ち上がってきている模様です。まずは最も有名なところから行くとインテル。インテルの後工程の非常に大きな工場が、インテルの7番目の工場としてサイゴン近郊に計画着工され、工事が進まないうちに最初の計画から規模が倍増し、インテルの後工程工場の中で世界最大になるという記事。

http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20061110/123426/