ベンチェ
ベンチェはメコンデルタ入り口の街ミトーからフェリーで30分弱のところにあります。メコン川の中州がそのまま一つの省になっているところです。ミトー以上にベンチェには何もありません。ただ川があるだけと言った方がいましたが、その通りです。 その何もないというところに惹かれて行って来ました。ベンチェに行きたいと口に出したとき、友人達は何で?という顔を一瞬しましたが、すぐに、じゃあみんなで遠足にしようと言ったものです。
ゲストハウスに迎えに来た友人のバイクの後ろに乗って、ミトーからフェリーを使い30分弱。ゆったりと、しかし、逆らえない流れの中をフェリーはゆっくりと横切っていきます。川の中に浮かぶ島々には水椰子が岸を覆い、南国情緒がいや増します。

あっという間についたベンチェのフェリー乗り場は特にどうということのない場所でしたが、すでに道端の火炎樹が花をつけ、その鮮やかさが心に残りました。そこから土埃の舞う道をひたすらバイクで走ります。道路の脇には延々と果樹園が続いていたりして、とてもその先に町があるような感じはしません。
ベンチェの街の中心はフェリー乗り場から10km程度、メコンの支流が市場の横を流れていました。町の規模はミトーよりもちょっと小さいか同じくらい。どちらも省都ですものね。
ベンチェの市場に入るとそこはいつものベトナムの市場があります。友人はこれがベンチェの特産で、他の町ではみられないものだよといくつか教えてくれたのですが、メモを取らなかったので忘れてしまいました。
メコンの支流には水上レストランが浮かび、人々は忙しく駆け回っています。

市場の近くのメコン川の支流には小さな橋が架かっていて、人々が忙しく往来していました。ベンチェはベトナム戦争(抗米戦争)初期に有名なベンチェ蜂起があったところですが、特に町の風景からは、そうした背景を読みとることはできませんでした。ただ、町の中心部にはいるところに大きな公園があって、記念碑みたいなものが建っていたので、それがその関係かも知れません。
ベンチェの街角で、鮮やかな赤いアオザイを来た若い女性を見かけて、写真を撮りたいなと思ったのですが、気後れしてしまって撮ることができませんでした。どうも僕は気が弱いもので(笑)。南国に赤はよく似合います。
ベンチェみたいな田舎町、日本人なんてあんまり来ないだろうなと思っていたら、ここに住んでいた人が本を書いているんですよね。ちょっとびっくりしました。
ベトナムで赤ちゃん生んで愉快に暮らす
岡村ゆかり著 筑摩書房 1200円
この本、結構おもしろかったです。


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