ホア・ルー

ホア・ルー、ビックドンは中国南部からベトナム北部でよく見られる切り立った岩山の風景があるところです。ベトナムではハロン湾が海の桂林として有名ですが、このあたりではまさに桂林のような風景が広がっています。
 ホア・ルーはハノイから100kmくらいの距離にあり、中国から独立したあとの短い期間都が置かれていました。それで、今でも由緒あるお寺がホア・ルーにはあります。もっとも今のホア・ルーは本当に田舎の村といった感じなのですが。中国の都護府であったハノイに都を置かず、ホア・ルーに置いたのは、防衛の観点と独立の政治的な意味のためと言われています。
 ハノイからはミニバスを使ったツアーがよく出ています。料金は96春の時点で15ドルくらいでした。このツアーはホア・ルー、ビックドンを組にしたものでホア・ルーのお寺に参って、小高い山から風景を見るのと、ビックドンで小舟に乗って川を遡るのが組になっています。朝はホテルまでピックアップに来てくれますが、帰りはホーアンキエム湖のところで降ろされ、あとは自分で帰れというのはちょっといただけません。もうちょっとサービスっちゅうものを考えてくれよという気になります。

ビックドン

 ツアーの見所はやっぱりビックドンを小舟で遡るところだと思います。切り立った小山の間を流れる川をゴキブリを裏返しにしたような小舟で遡ります。川の両側はほとんど水田で、田圃の手入れをしに働いている人が結構いたりします。また、途中、岩山をくり貫いて川が流れているところが何カ所かあり、短いですがトンネルの中を通ります。所要時間は行き帰りで約二時間半かかりますが、ゆったりと進んで行く小舟はとても気持ちがいいです。ただ、小舟を操っているおばさん達のお土産売り込み攻撃さえなかったなら!
 ベトナム人のねばり強さ(しつこさ)は行った人間なら分かると思いますが、曖昧な態度は危険です。後で考えるなどと言おうものならもう大変、帰りの道中は責められっぱなしになることは目に見えています。実際、行き交う舟を散見するとうんざりした顔の欧米人がたくさんいました。買わないなら最初から買わないとはっきりした態度で望みましょう。それで日本人はけちだとか言われても笑っているしかありません(笑)。
 あと、川を上りきったところで物売りがたくさんいるので、慰労するためにジュースでも買って上げれば角は立ちませんし、売り子のおばさんにカメラ撮影でもお願いすれば喜んでシャッターを切ってくれるでしょう。そのジュースが再利用されてチップ代わりになるとしても目くじらは立てないよう。
 実際、特に北部の方ではサービスというものが何か理解されていないようで、あからさまにチップを要求されることが多々あります。チップというのは感謝の気持ちなのだから、あげたければあげればいいし、無理に払う必要はないと思います。その点、売り子のおばさんのタイミングは絶妙でした。さすがに女性の細腕で漕ぐのは疲れるものですから、終着点に着くときは結構息を切らしています。そこで、慰労するためにジュースをあげたらどうだい?って。やっぱり、買ってあげちゃいますよね。

次ページへ 前ページへ