工芸
ベトナムに行ってお土産に何を買うか迷うことがありますが、一つの候補としていろいろな木工製品などがあります。サイゴンの街中ではかなり大きな船の木工品を肩に担いで観光客に売りつけようとしている(あるいは単に店の宣伝かも)名物男をよく見ましたが、手先の器用なベトナム人には木工芸品はお得意かも知れません。
ハノイで良く見るお土産用の木工品としては福禄寿の像があります。ベトナム語ではPhu'c
Lo.c
Thoですが、日本と同様にそれぞれ幸福、富、長寿を意味する3人の老人の姿を彫ったものです。
後は花瓶から皿、スプーンなど何でもござれという感じでした。
木工品製造はかなり一般的ですので、片手間で製造しているようなところを含めるとそれこそ、各村ごとにあるのではないかという程あります。
その中で、ハノイから近くて比較的規模の大きいところとしてはハノイ郊外(一応ハノイ市の中ですが、純然たるハノイっ子からするとハノイとは認められていない)のドン・アイン区に木工品の村々があります。その一つがここに取り上げるVa^n
Ha`です。
Van Haは田園の中に広がる小さな村で、決して大きな村ではありませんが、木工品加工で豊かなためか、建っている家もそれなりに大きく立派なものが多いところでした。一階がショールームを兼ねた作業所となっているところが多く、通りを歩くと店先でいろいろな木工品の加工をしている姿を見ることができます。
ここで写真にのせているのは、先にあげた福禄寿の加工をしている姿です。使っている道具は割合シンプルなノミ一本ということが多いようです。かなりラフに削っているように見えるのですが、出来上がっていく姿を見るとそれなりに緻密にできているので、やはり熟練を要する仕事でしょう。
お店は、主に小さな木工品を扱っているところ、椅子やテーブル、タンスなどの家具を扱っているところと得意とするものによって分かれているようです。
ベトナムの家具の特徴としては、貝殻などを使った細工が多用されることです。実際に展示されている椅子などを見ても、貝や石を磨いて埋め込んだ螺鈿細工を施したものが主流で、あまりシンプルな形状のものは置いてありませんでした。また、一緒にいったベトナム人に聞いても、そうした細工をしたものが好まれるとの説明でした。
一方、この写真の両脇にあるような木を彫り込んだ細かい細工はきれいなのだけど、ホコリがたまりやすくあまり実際的ではないというようなことも言っておりました。が、実際の製品を見るとこのような細かい細工をしたものの方が圧倒的に多いようでしたので、この人の意見は特殊なのかもしれません。
これら家具に使う木材は大きく2種類に分かれ、白い木質のものと、濃い色をした木質のものがあります。僕が見た限りでは、いろいろなところでよく見るのは後者の濃い木質のもののような印象を受けています。
木を削り彫り込んで細工をした後に、この螺鈿細工をするのですが、仕上げとして貝や石を埋め込んだ後に表面、及び回りの木そのものを水を使って磨きます。この表面仕上げによって家具に艶やかな印象を与えることができるのです。
これはあるお店の看板。道路の向い側には、木工品加工に使う原料の木材が置いてあるのが見えます。