テト
 中華文化圏であるベトナムでは、テトというのは元々は季節ごとのイベント(節)を意味していたのですが、その中で最も大事なTet Nguyen Dan(元旦節=春節)を一般的に指すようになりました。今、テトと言うと旧正月のことだよねというのが一般的な認識だと思います。
 テトという言葉が日本で知られるようになったのは、ベトナム戦争が最も激しかった時期、1968年に行われたテト攻勢のためでしょうか?本来、欧米諸国のクリスマス休戦に相当すると考えられ、暗黙のうちにその時期は休戦と思っていた時期の解放戦線の作戦は、非常に衝撃的で、不意をつかれた南ベトナム政府軍とアメリカ軍は当初混乱し、特にサイゴンのアメリカ大使館を巡る攻防がテレビ中継されたため、これを機にアメリカでのベトナム戦争への反対運動は弾みを付けました。

 テトは昔の日本でもそうでしたが、新年はみな故郷に帰り、家族と過ごすのが一般的で、正月期間中はどこもお店をやっていないという状態でした。しかし、今は、特にサイゴンでは外国人観光客や裕福になってテト期間中に旅行するようになったベトナム人を相手にお店を開けているところが多くなり、昔の風情が失われてきているようです。

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