ブン・チャーを作る
 ブン・チャーはその名の通り、押し出し麺であるブンに焼いた肉であるチャーを載せて食べる料理です。ブン・チャー・ハノイ(もちろんハノイでは単なるブン・チャーとしか呼びませんが)は、ハノイの名物料理ですが、付け汁にブンを入れ、その上から肉を載せて食べる仕組みになっています。南部でもブン・チャーはありますが、肉を載せたブンの上からたれをかけて食べるもので、僕から見たら完全に違った料理と言っていいです。例えば、サラダの一種として供されるBu'n cha? gio`をハノイのブン・チャーと一緒にする人はいないでしょう。
 ブン・チャーに初めて出会ったのは、96年の二回目のハノイ行きでした。トィクェ通りを彷徨って、ブォイ市場までたどり着き、中をふらふらと歩いていると手招きされてありついたのがブン・チャーでした。それまで、ベトナムに関するかなりたくさんの本を読んでいたのになぜかブン・チャーについて書いている(少なくとも印象的な)本はなく、全然知識がないところに出会った味で、衝撃的でした。食べているときは、それがブン・チャーという名前の料理であることさえも知らなかったのです。今は、ハノイに行く楽しみの一つがお昼のブン・チャーになるくらい、はまってしまっています。
 で、ブン・チャーに惚れ込んで、ブン・チャー友の会会員を名乗るくらいまでになっているのですが、日本でブン・チャーを食べられる所は非常に少なく(日本のベトナム料理屋さんはほとんどが南部の料理)、わざわざハノイまで行かなければならないのか?というのが日頃の悩みです。
 ある時、友達がベトナム料理を作って食べようと言って、何が良いか?と聞かれたときに迷わず選んだのがブン・チャーでした。というわけで、垣間見たブン・チャーの作り方です(ハノイに行けばいくらでも見れるけど)。ただ、悲しいことに僕は肉を焼くところしか担当させてもらえなかったので、ほんのちょっとですけどね(笑)。

1.材料の準備
 ブン・チャーの材料はきわめてシンプルです。
 まず、ブン。これは日本では生のものが手に入りませんので、乾燥したものを戻して使うことになります。ちょっと太めの方が良いでしょう。
 次に焼き肉にする牛肉の切れ端bo` mie'^ngと牛肉団子のbo` vie^nです。bo` mie'^ngは肉を切って味付けをするだけですが、bo` vie^nは肉をみじん切りにして味付けをして固める必要があります。この味付けの部分は分かりませんでした。ミンチを使うと細かすぎるので、時間をかけて叩きつぶしていった方がよいと思います。そう、バイン・ゴイの時にやったように。
 あとは、付け汁ですが、これは全然作り方を見ていなかった。多分ヌック・チャムと同じような作り方をすると思うのですが...。
 付け汁に入れる青いパパイヤとその他野菜の類も忘れずに。野菜は手に入るもので我慢しましょう。

2.肉を焼く
 これはただ焼くだけです(笑)。ただ、これを炭火で焼くか、ガスで焼くかというのは天と地ほどの差がありますので、必ず炭火を使いましょう。炭火の強い火力で、チャーがじりじりと焼け、油が滴って火に落ち、実に良い香りがしてきます。焼き上がったチャーや肉団子はあらかじめたれを入れた容器に入れて、味を付けておきます。
 現地で焼くときには、団子を串に刺して焼く場合もありますが、切れと同じように金網に挟んで焼くこともあります。ここでやっているように、単に金網の上に載せて焼くだけでも十分です。十分に火を立たせてから焼きましょう。ひたすら扇ぐのは疲れますが、その努力は報われます。

3.完成
 なんか全然作り方の参考になっていませんが、これで完成です(笑)。
 ブンとお肉と野菜とを別々の皿に盛って供します。それを個人の汁を入れた器に取って食べていきます。
 ブン・チャーを食べるときには、春巻きも必須と言っていいほどですので、揚げ春巻きは絶対に作っておきましょう。この場合の揚げ春巻きは、Cha? gio`ではいけません、必ずハノイ式のネムにしましょう。

 

 お店でブン・チャーを食べると下のような組み合わせで現れます。この写真は、旧市街の人気店ダック・キムで食べたときのものです。でも、僕にとってはブォイ市場で食べた最初のものが一番印象に残っています。

 

 

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