ハノイのカフェで
 ハノイの街中にはカフェがいくつもあります。カフェといってもいろいろで、路上に椅子を並べただけのもの、室内にテレビをおいて朝から見ているところ、がんがん音楽をかけているところ。ハノイは蒸し暑いので歩くのも面倒くさく、ついついそうしたカフェに転がり込んでしまいます。写真の少女達はホーアンキエム湖の側にある小さなカフェで働いていました。ベトナムの女性は本当に働き者です。行った最初の日はあまり親しげではありませんでしたが、何日か通うと随分親切にしてくれます。写真を撮ってくれと言うので、一人一人の写真を撮りましたがまだ送っていません(^_^;)。宿にしろカフェにしろ通わないと単なる通りすがりで終わり、交流というものはできないのかなと思います。幾度もベトナムに通う人はそうした場所を持っているような気がします。

 昨年(96)に引き続き、GWにハノイに行ったときのこと。フーザーの側のカフェをまた訪れました。写真必ず送るとか言って、結局一年間なしのつぶてという不誠実なことをしてしまったので、せめてもと思い、写真を渡しに行ったのでした。
 彼女たちは僕を一目見たとたん、あっ、この人知っている!と覚えていてくれました。ごめんねと謝りながら、一年前の写真を彼女たちに渡している場面がこれです。パジャマみたいなのは家でくつろぐための普段着で、市場に行くとおばさん達がこういう格好をしています。基本的にシャツとパンツの組み合わせが一般的で、スカートをはいている人はほとんどいません。もっとも95年はスカートが大流行したという話もありましたけど。

ハノイの老女
 ベトナムは南北に長く地域性がありますが、それは生活習慣や食べ物、着るものなどにも表れてきます。例えば、前ページで紹介したブン・チャーは北部では一般的な食べ物ですが、南部で見かけることはありません。
 ここに載せた写真はハノイのカフェで見かけた老婦人ですが、頭には黒い髪押さえ、口元はお歯黒をしているのが分かります。このような姿は南部では見られないため、この写真を見た南部出身の在日ベトナム人の方は、一目でハノイというのを見破ってしまいました。

ハノイの夜の訪問者
 最初の旅行で泊まったところは政府系のゲストハウスの一つでしたが、設備の割には25ドルと高いところでした。でもホーアンキエムやハノイ教会の近くで便利だし、動くのが面倒だったのであっさりと決めたのでした。
 問題は夜にやってきました。ここに3泊したのですが、毎晩夜の10時から11時くらいになるとがちゃがちゃとドアを叩く音が。初めての国でこれは結構怖かった。カーテンを開けるとそこには二十代半ばと見える若い女性が二人。何の用だと聞くと英語はよく分からないようだけどマッサージと身ぶりで言ってるよう。そう、彼女たちは夜の蝶だったのでした。疲れているし、怖いし、日本でもそんなことしてないのに異国でできるはずもない。早々にお引きとり願いました。ところが次の夜もまた別の20代後半と見える女性が、今度は一人でやってきました。結局三晩とも夜の訪問者が訪れてきたのでした。疲れて眠りかけているところに来るし、いきなりがちゃがちゃとやるのに閉口しました。
 ところでなぜ二人で訪れてくるか?その疑問に答えてくれたのはとあるベトナム通の知人でした。お金は欲しいけれど彼女たちもまた怖い、それで二人組になって来るのだそうです。また、ある時には鼻を伸ばした男を連携プレイでだまして、部屋から金目のものをさらっていくこともあるそうです。
 さて、この話を聞いて期待する人がいるかも知れませんが、二回目に同じところに泊まったときにはこのような夜の訪問者はありませんでした。腐敗追放キャンペーンがあったようで、当局の締め付けが厳しくなったのでしょう。また、ベトナムはなんといっても社会主義国だということをお忘れなく。もし、そうした行為が見つかったときにはコンアンという新聞に顔写真付きで載せられ、そのまま国外退去です。そして、次にベトナムに行きたいと思ってもビザの発給については保証できません。ビジネスで行っている人は自重した方が無難と思います。
 ベトナムの怖いところは見ていないようで見ている、放っているように見えてばさっとやるところです。変化が激しいこの国では揺り戻しも何度もあり、そういうときに過去の悪行が問題となるのでした。

ハノイヒルトン
 ハノイヒルトンというのはこれまで、ホアローの収容所のことを指していました。これは、ベトナム戦争中に撃墜された米軍兵士が自ら収容されていた場所を皮肉を込めて呼んだモノでした。
 ところが、本物のヒルトンがついにベトナムにできたようです。それも、ハノイ大歌劇場の横という一等地に。ソフィテルといい、欧米資本の力はやはりすごいものです。我らが日航ホテルや大宇ホテルの場所に比べて、何という違いか!ちょっとため息をついてしまったのでした。
 しかし、ハノイでも折からのアジア景気減速に伴う旅行者減少でホテル余りが続いています。これから開業するこのハノイヒルトンも宿泊客の確保には苦労するでしょう。

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