ニャチャン
ニャチャンはベトナム南部の有名なリゾート地です。サイゴンからはプロペラ機で約1時間、近くにはかつて米軍の一大海軍基地であり、ベトナム戦争終結後はソ連の海軍基地となった天然の良港カムラン湾が控えています。ドイモイ以前の経済的に息詰まったときにここから多くの難民が出国しました。
いまのニャチャンはそんなこととは無関係の穏やかな風景を醸し出しています。いかにもリゾートという感じの白い砂浜が続いていますが、リゾート地としての整備はまだいまいちなためか、ビーチが外国人に占拠されているという風でもありません。もちろん、外国人もたくさんいるのですが、それ以上にたくさんのベトナム人のグループが遊びに来ています。
リゾート地ですから、いろいろなものを見に動きまわるというよりも浜辺でごろごろというのが正しい過ごし方だと思われます。実際、欧米系のリゾート客は本当に何をするでもなく、ビーチシートに座って気の赴くままに過ごしています。ペーパーバックを片手に、ほとんど泳ぐこともなく、日陰で肌を焼いている女性や時たまパラセールを楽しんでいる男性など、本当に休みに来ているんだなあという感じでした。

ニャチャンの朝
昼間のニャチャンの浜辺は上の写真のように閑散としています。しかし、これがニャチャンの実体ではありません。昼間は暑くて日差しも強いため、地元の人は浜辺にほとんど来ないのです。では、地元の人はいつ来るのか?それは早朝と夕方です。特に早朝の浜辺の賑わいはなかなかのものです。右の写真がその早朝の浜辺を写したものですが、まだここは空いている方です。人々は泳いだりビーチバレーをしたり、ミニサッカーをやっていたりと様々な楽しみに高じています。
これはニャチャンに限ったことではないのですが、ベトナムは熱帯で非常に暑いため、昼間は運動をすることはあまりないようです。ベトナムを旅行し始めた当初はジョギングする人も全然見なかったので、やっぱり暑いところではジョギングなんかしないんだろうなと勝手に思っていました。しかし、朝早くに街に出てみるとジョギングしている人の多いこと!バトミントンとかも非常に盛んですし、思い込みはやっぱりいけないですね。そういえば、以前経済ミッションの視察でフィリピンなんかに出かけていった経済人が昼間に漁村とかを尋ねて、みんなごろごろしているのを見て働く気がないんだから遅れているのも当然といった感想を話していたのを思い出しました。実際には彼らは夜も明けないうちから働いて、昼間は休んでいるだけだったのですが。

ビーチの経済学
浜辺でビーチデッキを買い、くつろいでいると次から次へといろいろな売り子がやってきます。断るとあとでねと言って結構あっさりと引き下がるのですが、確実に後でやってきます(笑)。で、断るときに後で買うよとか言ったらもう大変、買うって言っただろとうるさいこと。断るときはきちんといらないと言っておきましょう。
そういう売り子の一人となぜか親しくなり、地元の人が買う値段というのを教えてもらったのでここにあげておきます。外国人には2〜5倍で平気で売りつけます。

パン菓子(Ba'nh) 500ドン
海老(To^m) 5000ドン 焼いてくれます
かに(Ghe.) 3000ドン ゆでてます
マンゴー(Roa`i) 3000ドン
すいか(Du'a) 3000ドン
よく分からない果物(Ddao) 500ドン
ピーナッツ(Da^.u) 1000ドン/1缶
Tシャツ 10000ドン

ダム市場
街の中心の方に円形の建物があって体育館か何かと思わせられますが、これが実は市場なんですね。建物の中にもお店がありますが、その周囲を囲むようにまた市場がたっています。市場は活気があって、結構みんなフレンドリーです。丸い建物の中に入ると英語のできる女性が近づいてきて何を買いたいのか尋ねます。別に彼女は案内係ではないのですが、親切心とコミッションと両方からなんでしょうか?コミッションを実際にもらっているかどうかは分かりません。でも、どこで何を売っているかは分かりませんので、重宝します。別の方は市場の入り口でおじさんにつかまって似たような経験をしたと言っていました。
市場で売っているものは探し方が悪かったせいか、特に海産物が多いということもなかったです。どうしても一目で外国人とばれるため、声をかけられて買って行けと言われるのですが、さすがにアヒル一羽買ってどうするのということもありますので、ほとんど何も買いませんでした。一緒に行ったカトピリさんは、ニャチャン特産のシャツをどうだと言われていましたが。実際のところ彼がホイアン産のシャツを着ていたのでうちのはどうだということになったようです。僕には特に違いは分からなかったのですが。

ポー・ナガール
ニャチャンの町外れにはチャムの遺跡であるポー・ナガール寺院があります。そこはニャチャンの漁港を望む小高い丘の上で、ニャチャンビーチ全体をはるかに見渡すことができるところです。
寺院の前には戦争で腕を亡くした人や老人が施しを求めて群れていて、心が痛むのだけれどちょっと苛立っていて無視してしまいました。階段を上るとレンガで作られた特徴的なチャムの遺跡が目の前にそびえ立っています。建物の中には仏像のように装飾されたヒンドゥーの神像が鎮座しています。ベトナム人から仏教寺院として扱われることによって破壊を免れ、守り続けてこられたもののようです。僕が行ったときにも熱心な人が線香をあげて一心不乱に祈っていました。

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