シクロには乗らない
ベトナムに行く人ならだれでも、シクロに乗って風に吹かれながら街をまわることを楽しみにしていることと思います。確かに、あの視線の位置といい、情緒といい、シクロはよい乗り物でした。しかし、現在のシクロはベトナム(特にサイゴン)では一般的な乗り物と言えなくなってきつつあります。サイゴンの市内中心部のめぼしいところは今やシクロ乗り入れ禁止となり、とても便利とは言えませんし、バイクや自動車が増えたため排気ガスで気分が悪くなるということもあります。また、外国人が乗りこなすのは元々非常に難しい乗り物でもある上、特にホーチミン市ではシクロの犯罪が非常に多くなっており、危険な目にあった人もかなりいます(ニフティサーブ アジア会議室のライブラリーにこのような事例が収録されています。また、森さん、高橋さんの事例などを読むとシクロのトラブルとはどういうものか分かります)。サイゴンでは絶対にシクロに乗ってはいけません。悪徳シクロに出会う可能性が高いのです。以前は特にニューワールドホテル近辺とサイゴン川の近くで悪徳シクロが多いという話だったのですが、最近はその二カ所以外でもトラブルが多発しているとのことです。僕も実際に被害の話を聞くことが多くなりました。だから、シクロには基本的に乗らないことを繰り返し注意します。また、英語のできるシクロ運転手の方がたちが悪いという話もあります。前述の森さんはシクロで命の危険まで感じ、シクロ撲滅ページというのまで作っていました(今はもうなくなっているようです)。
もし、シクロに乗りたいときには地方都市の方がまだ安全ですし、また地方ではそれしか交通手段がない可能性もあります。しかし、観光地でもタクシーがすごい勢いで増えていますので、シクロを使う必要もなくなってきています。
どこでもシクロに乗ると必ず料金でトラブルに会うと覚悟しておいた方が無難かもしれません。トラブルを避けるためには小銭を用意してちょうど支払いさっさと立ち去りましょう。何を言われても相手にしないことです。
サイゴンでの相場は一時間2ドルくらいだそうです(95年当時)。もちろん、距離や道路状況、荷物などによって変わるようですが、このくらいが相場ではないかと言ってました。初乗りが3000ドン。
一時間1ドルというシクロは何か魂胆があると気をつけた方がいいでしょう。1ドルと言いながら、空いた指を丸めていて、後で10ドルとか言うこともあります。あるいはドンで交渉しておきながら、あとであれはドルだったとか。また、近くであっても知らないことを良いことに遠回りをするというのは一般的ですから、気をつけましょう。もっとも、サイゴンは進入禁止や一方通行が多くてよく分からないのですが。ただ、これは特に外国人だけでなく、同じベトナム人でも地方からでてきたうぶな人間はよくやられているようです。僕の最初のベトナム語の先生はハノイの人だったのですが、ダナンに行ったときにタクシーに乗ってえらく遠回りをされたのに気がつかず、帰りに初めてだまされたと気がついたと言っていました。タクシーでもよくあることのようです。
悪徳シクロの手口としては
1. バイクとぐるで、注意を逸らしひったくりをする。
僕の知人に不幸にして犠牲になった方がいます。
彼は初日にして骨折してそのまま帰国でした。
シクロに乗るときはひったくりに注意しましょう。
2. 人気のないところに連れて行って身ぐるみ矧ぐ。
連れて行く先には仲間がいて取り囲まれるようです。
そして有り金全部出せということになるみたいです。
現金はたくさん持ち歩かないようにしましょう。
3. 飲み物に睡眠薬を入れて、身ぐるみ矧ぐ。
以前あまり聞かなかったのですが最近多いようです。
二次災害もあり得ますので、気をつけましょう。
日本でしないことは外国でもしないのが基本です。
4. お店とぐるになって法外なお金を要求する。
これもよくありすぎて悪徳とは言えないかも。
当然シクロの運転手にはキックバックがあります。
地方のシクロ
地方のシクロはサイゴンに比べれば危険は少ないかもしれません。でも、トラブルに会わないという保証はありません。お金に関してはまずトラブルになることを覚悟しましょう。最初に約束して乗ったつもりでも、言葉がうまく通じていなかったり、あるいはもっとお金を取ろうとして、文句を言われることがままあります。また、長い時間行動をともにして仲良くなったと思っても、そのあとどこかに行こうとしたときにもただを期待してはいけません。基本的に彼らは貧しく、生活のためにお金を稼ぐことに必死なのです。
とにかく乗る前に値段交渉をする。支払いの時に相手が違うことを言いだしても相手にせず、金を押しつけてさっさと逃げるというのが無難なようです。下手をすると周りにいる人間を仲間につけて、取り囲まれたりすることもあります。
地方で見かける特徴のあるシクロ?としては、メコンデルタの方にあるバイクや自転車で座席を引くタイプのオートシクロとでも言うものがあります。ベトナム語ではセー・ケオと呼ばれています。カントーやベンチェで見ましたが、ミトーにはないようです。これはカンボジアにも同じものがあるそうで、このあたり文化的にカンボジアに近くなっているのかなと思わせられました。
シクロの乗り方というのがあるかどうか分かりませんが、僕は向こうから声をかけてくるシクロには乗りません。何か主導権を握られるのが厭だからです。で、どうするか。交差点近くで客待ちしているシクロや店の前で休んでいるシクロにこちらから近づき、どこどこまでこれくらいで行ってくれと言うのです。いくらかかると聞くと、必ず2〜3倍の値段を言う(ひどい奴は10倍です)のがいやなのと、交渉に時間がかかるためです。あまり相場から離れていない額であれば、そこが出発点になって現地の人に比べれば高くとも程々で収まる気がします。3000ドン/kmとか、5000ドン/2kmあたりだと大丈夫なのかなあ?結構適当ですけど。
バイクタクシー
かつては街を縦横無尽に走っていたシクロも様々な制限ができ、また重労働ですので次第に街を走っている数が減ってきました。その代わりに今やバイクタクシーが街を闊歩しています。
バイクタクシーと言うと何かたいそうなものを想像する向きもあるかもしれませんが、これは単にバイクの後ろに客を乗せて移動するものです。そのバイクもスーパーカブのような代物がほとんどで、街中を猛スピードで飛ばすわけではありませんが、運転が結構荒っぽい、あるいは不注意な人が多いため、事故はしょっちゅう起こっています。私もぶつかられたことがあります。
このバイクタクシーですが、客が後ろからドライバーに抱きつく形になることから、現地ではせー・オムと呼ばれています。シクロと同様、サイゴンやハノイでバイクタクシーをやっている人間は地方出身者が多いです。地方から何か運が転がっていないかと都会に出てきてみたものの、やっぱり人生そう甘いものではなく、賃借りできるシクロやバイクを使ってどうにか糊口をしのぐというケースが非常に多いと聞いています。ということで、結構良いお金になる外国人相手の商売に走る人が多いのはシクロと同様です。時には、手っ取り早く金を稼ぐために良からぬたくらみを抱く人も。疑ってばかりでは、旅が味気ないものになるという意見は確かにあるのですが、まずは安全に帰国するのが何よりですから。
バイクタクシーの相場は、シクロよりも安いのが普通です。シクロは重労働ですから。
To be continued